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interview

&Greenスペシャルインタビュー#08
丸滋製陶 今井将之さん×KIGI植原亮輔さん 渡邉良重さん

定番を、つなぐ。

 前回ご紹介したプロダクトブランド「KIKOF(キコフ)」。今回は信楽焼の職人さんにスポットを当ててお話を伺いました。水のちからで生きる&Green。 もともと古琵琶湖の底にあった信楽もまた水とともに歴史を重ねてきた土地で、水の底に堆積した良質な粘土を使う信楽焼だからこそ、あの独特の味わいを醸し出せるのだそう。「焼き物、水、植物はつながりが深く一体となって癒されるもの」と話すのは、今回お話を伺った丸滋製陶6代目の今井将之さん。モノづくりの信念や未来への想いなど、KIGIのお二人との対談形式でお届けします。

丸滋製陶さんについて教えてください。

今井:創業は明治10年になります。信楽はもともと火鉢が主力でしたが、石油ストーブなどの発達で下火になり、植木鉢などのエクステリア商品を盛んに扱うようになりました。丸滋製陶も、4代目である父の代に傘立てやガーデンテーブルなど商品の幅を広げ、2005年頃からは手洗い鉢を主力に。食器はKIKOFが初めてです。

渡邉:最初に作ったのはポットでした。はじめに私たちが紙でサンプルを作って、当時5代目のお兄さんに相談して。当時の私たちは、そのアイデアを焼き物で形にすることが難しいかどうかも分からなくて……今思えば結構な難題だったと思います。それでも「やってみよう」とすぐに言ってくださったんですよね。
今井:兄はデザインを見て「鋳込み成型」でいこうと決めたのですが、この鋳込み成型、もともと大きいものが得意だった丸滋製陶にはなかった技術、いわば挑戦だったんです。ノウハウが全くない中でベテラン職人さんに情報を聞きまわったり試行錯誤を何度も繰り返して。

渡邉:「今はこういうものを作る技術はないけれど、これができたら、いつか信楽焼の普通の技術になるかもしれない」と仰っていたのをよく覚えています。

今井:兄は信楽の10年後、20年後をいつもイメージしていましたからね。

渡邉:特に難しかったものはなんですか?

今井:プレートです。KIKOFには、鋳込み専用の「鋳込み泥」というのをあえて使わず、粘度の高い信楽の泥を使っています。KIKOFのプレートってとにかく薄いでしょう?粘り気があるから、型の端まで泥がなかなか行き渡らない。鋳込み泥を使えばもっとスムーズにできたでしょうけど、質感、表情、焼き上がりの雰囲気……KIKOFのイメージにはこれしかないと確信していたので、妥協はしませんでした。

渡邉:試作段階からイメージ通りだったので、そんな選択肢があったことすら知らなかったです。

今井:釉薬の吹き掛けも、はじめは「あかん!軽すぎてめっちゃ動く!やりにくい!」って。

渡邉:食器の場合、容器に釉薬を入れてガバッと浸ける「浸し掛け」が一般的では?

今井:「浸し掛け」は確かに釉薬を均等に掛けられて効率も良いけど、納得いく仕上がりにならなかったんです。

渡邉:大変だと言われてはいたけれどいつも笑顔だったので、後から苦労話を聞いた時には本当にびっくりで……。

今井:大変さもありつつ、楽しんでいたんだと思います。そんな兄が急逝し僕がバトンを受け継いだのが2年前。あんなに苦労しながらメモも何も残していなかったので、そこからまた違う苦労が始まったんですけどね(笑)。

KIKOFの魅力を教えてください。

今井:今も新作に取り掛かっていますが、デザインが斬新で毎回驚かされます。「こんな発想があんねや!」と。あたたかみのある焼き物ならではの雰囲気も魅力。同じ白でも、磁器では出せない雰囲気です。

植原:ちょっとした“ゆらぎ”がいいんですよね。

今井:白だけじゃなく、グレー、ピンク、ブルー、それぞれKIKOFならではの表情を持っています。それぞれ微妙に濃度が違うから、釉薬の配合も一つ一つ変えて。

植原:一点一点手作りの作家ものならともかく、ブランドものでここまで職人の手を入れているのはなかなかないんじゃないですかね。

今井:型があってもやっぱり難しい。同じ道具、同じ釉薬を使っても、ちょっとしたニュアンスはすぐ変わるから、一つ一つと丁寧に向き合っています。
焼き物は窯に入れたらあとは炎に委ねるしかない。同じパターンでやっても、前と違うのはよくあることで、それが焼き物の難しさであり醍醐味。楽しめる気持ちがなかったらこの仕事は続けられませんからね。

KIKOFの今後の展望を教えてください。

植原:展望は……“このまま”かな(笑)。ちょっとずつちょっとずつ継続していくことが大切なので。

今井:そう、作り続けることが大切。「ここに来れば、これがある」っていう定番を絶やさないように。
僕は50歳で兄からバトンを受け取りました。「50歳からこのバトンはきついで」と焦ったけれど、こればかりは地道にいくしかないんですよね。一つ一つ丁寧に経験を積み重ね、感覚を積み重ね、そして、次の世代へ繋げていければ良いなと思っています。

 炎によって一つ一つ違う表情を見せてくれる陶器たち。植物もまた人の手では制御できない部分が大きく、すべて同じ色や形には育ちません。だからこそ愛おしく感じ、面白いと思える。一見違う分野に存在するように見える二つですが、とても似ている部分があると感じました。
つねに信楽の未来を見据えモノづくりと向き合っている丸滋製陶さんと同じく、私たちも、緑のあるお部屋がより多くの人の当たり前になる未来を見据え、そして&Greenがそれを叶えていけたら嬉しく思っています。
KIGIさん、丸滋製陶さん、そして、想いがつながり誕生したKIKOF。今後のご活躍を楽しみにしています。

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丸滋製陶株式会社プロフィール
明治10年、今井新左衛門により丸志製陶所(現・丸滋製陶株式会社)創業。
ロクロ成形による回転体の制作を主としてきたが、「KIKOF」制作にあたり鋳込み成形による八角形の器に挑戦。
信楽焼の伝統を受け継ぎながら、現代のライフスタイルに似合う'住まいのやきもの'の制作・提案を目指し、使っていただく方が気に入り、長く暮らしに馴染んでいくものを生み出していきたいと考えている。
2020年、亡き兄、今井智一の後を引き継ぎ、今井将之が六代目・丸滋製陶株式会社の代表取締役社長就任。技術と信念を今へと繋げている。
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