&Greenでは2023年7月から、2023年12月までの売り上げの一部を、ウォーターエイドジャパンに寄付をいたしました。
世界の水・衛生問題の解決のために活動するウォーターエイドジャパン。&Greenの寄付支援も今回で5回目を迎えました。これまでコロナ禍での衛生環境整備、気候変動による災害への対策・水資源管理など、多くの地域での様々な活動をご紹介してきました。
各プロジェクトは何年もかけて取り組まれており、世界の水・衛生問題の解決には継続的な支援が必要です。今回は昨年ご紹介したモザンビークの保健医療施設におけるプロジェクトの今についてご紹介します。
人々の健康を守る病院や診療所に “命の水”を届ける
2000年以降、世界では、20億人以上が清潔な水を、27億人がトイレを利用できるようになりました。このような前進がある一方、これまで見過ごされてきた課題の1つが診療所や病院などの保健医療施設に給水設備やトイレがないことです。保健医療施設は、人々の命と健康を守るためにも、清潔な場所でなければなりません。一方、後発開発途上国のおよそ半数の保健医療施設では、敷地内で清潔な水を利用することができません。5分の4の保健医療施設に適切なトイレがなく、3分の2の施設には手洗い設備がありません。
保健医療施設に清潔な水やトイレ、手洗い設備がなければ、施設や医療器具を清潔に保つことができず、適切な医療サービスを提供することができません。また、医療従事者は、治療中に手洗いすることもできません。不衛生な環境での出産に伴う感染症によって、年間100万人を超えるお母さんと赤ちゃんが命を落としており、このことは出産時に赤ちゃんが亡くなる原因の26%、女性が亡くなる原因の11% を占めています。汚れた水しか手に入らないなかでの出産は、母子ともに大きなリスクを伴います。また、医療従事者の70%は女性と言われていますが、トイレがない、手洗いができない職場では、月経期間中なども安心して働くことができません。
新型コロナウイルス感染症が拡大していた時期には、こうした保健医療施設で働く医療従事者たちから、「この病院が感染源になるのではないか」「自分だけではなく家族を感染の危機にさらすのではないか」という不安の声が多くあがっていました。
こうした状況を受けて、ウォーターエイドは、世界各地で、保健医療施設の水・衛生の状況を改善する活動を進めています。そのなかの1つが、アフリカ南部の国、モザンビークの保健医療施設における水・衛生プロジェクトです。昨年、このプロジェクトの概要をご紹介しましたが、今回はその進捗状況をご紹介いたします。
モザンビークの保健医療施設における水・衛生プロジェクト進捗報告
本プロジェクトの対象地域であるニアサ州は、モザンビークのなかでも貧困な地域であり、清潔な水を利用できるのは人口の38%、適切なトイレを利用できるのは27%のみです。特に診療所・病院など保健医療施設の水・衛生の状況は悪く、保健医療施設の敷地内で清潔な水を使うことができるのは21%のみです。そのため、患者が保健医療施設で別の感染症にかかったり、女性たちが不衛生な環境で出産し、命の危険に直面したりしています。
そこで、保健医療施設の水・衛生の状況を改善する3年間のプロジェクトを2022年6月にスタート。ニアサ州クアンバ郡のなかで最も水・衛生が行き届いていない保健医療施設5箇所を対象に、人々が安心して医療サービスを受け、健康な生活を送ることができるよう、給水システムとトイレを設置し、地域に衛生習慣を普及することを目指しています。また、この取り組みを「モデル」として、保健医療施設の水・衛生状況の改善に注力するよう現地政府に働きかけています。
2023年2月と3月には、サイクロン「フレディ」がモザンビークに上陸。給水・衛生設備が破壊されたり、衛生状況が悪化したりしたことで、その前から感染拡大が見られたコレラが、さらに急増する事態となりました。加えて、物価の高騰にも直面し、本プロジェクトは開始直後から様々な困難に見舞われましたが、これまで下記のとおり進捗しています。
① 保健医療施設5か所における水・衛生の状況改善
保健医療施設5か所における給水システムの建設・修理、トイレと手洗い設備の設置は50%完了しました。また、新しい給水システムの維持管理を担う現地の民間事業者3社を選定し、その3社のスタッフならびに現地の地方自治体の担当者を対象に、給水システムの管理に関するトレーニングを実施しました。さらに、住民を対象に、手洗い等の衛生習慣を普及・啓発するキャンペーンを実施するために、そのキャンペーンで使用する広報素材の制作に着手しました。
② 現地政府の能力強化
各保健医療施設の給水システムの継続的な管理モデルについて話し合うためのワークショップを2回開催し、現地政府の担当者が参加しました。
③ 水・衛生を通じた女性のエンパワーメント
保健医療施設で清潔な水を使えない、トイレを使えないということは、特に出産などで保健医療施設を利用する女性たちに大きな影響があります。そのため、本来であれば、こうした水・衛生プロジェクトの計画段階から、女性がしっかり参加し、意見やニーズを表明することが大切です。一方、開発途上国の農村部では、地域の意思決定の機会に女性が参加することができない、ということが多くあります。そこで、ウォーターエイドは、実際にこの地域の女性たちが直面している課題を正確に把握し、それをプロジェクト計画に反映させるために、女性の地位向上に取り組む現地団体と連携して、女性のニーズを把握する調査を実施しました。さらに、この調査結果を説明し、かつ意思決定に女性が積極的に参加するためのアクションプランを策定するワークショップも開催しました。
プロジェクトの成果を楽しみにする住民たちの声
クアンバ市に妻と3人の子供と住み、民間事業会社で働くエリゼウ・ムラレイアさんは、以前、手押しポンプ付きの掘削井戸を含む小規模な給水プロジェクトに携わったことがあります。このプロジェクトが給水システムの維持管理を担当する民間事業会社を探していると聞いたとき、すぐに自分のスキルと経験を活かして、この新しい職務に就くことを決めました。
「ウォーターエイドが民間事業者を募集していると聞いて応募しました。新しい給水システムによって、安全な水を飲むことが可能になります。これによって、病気が減り、コミュニティは助かります。私の会社は多くのことに貢献できると信じています」
クアンバ県に住む女性エスメラルダ・アルベルトさんは、話します。
「ここエタタラでは、病院がかなり改善されてきているようですね。以前は(この病院に)トイレも水もありませんでした。今は水があるから、出産の後、入浴して、きれいになって家に帰れることができます。状況は本当に良くなっています!私たちは、このプロジェクトにとても感謝しています。」
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特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
https://www.wateraid.org/jp/
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モザンビークのプロジェクトも3年目となり、ウォーターエイドの活動が地域の住民たちとともに着実に成果をあげている様子がうかがえました。みなさまのお手元にある&Greenが、長く続く活動の一端を担っていることを感じていただけると嬉しく思います。