花々に、新しい生命を
-----------------
株式会社RIN代表 フラワーサイクリスト®
河島春佳
長野県生まれ。“花のロスを減らし、花のある生活を文化にする”をミッションとし、ロスフラワー®を用いた店舗デザインや、装花装飾 を行う株式会社RIN を立ち上げる。花農家と消費者の架け橋として開設したオンラインショップ『フラワーサイクルマルシェ』、フラワーサイクリスト®を育成する「フラワーキャリアアカデミー」、花のある生活の魅力を伝えるコミュニティ事業などを展開。自著には『生花からドライまで、花を愉しむアイデア おうちでフラワーサイクルアート』や『いつまでも美しい染色ドライフラワー図鑑』がある。
Instagram:@haruka.kawashima
株式会社RIN 公式HP:https://lossflower.com/
■RIN marche 店舗概要
156-0051 東京都世田谷区宮坂1-12-11
営業日・営業時間は公式Instagramで告知
instagram:@rin.marche
-----------------
廃棄される「ロスフラワー®」との出会い
廃棄されてしまう花々に、新しい命を吹き込む。“フラワー”と“アップサイクル”をかけ合わせた「フラワーサイクリスト®」が私の仕事です。
この道を志したきっかけは、クリスマスの花屋でアルバイトしていた時でした。クリスマスの翌日に大量に廃棄される赤いバラを見て、ショックを受けたんです。「花たちをもっと活用できる方法があるはず」と考え、廃棄予定の花をドライフラワーのブーケにしてマルシェで販売を始めたところ、多くの方々に興味を持っていただけたことが原点です。
独学でドライフラワーづくりを学び、パリでの花留学を経て立ち上げた株式会社RINでは、結婚式場で使われたお花や、市場に出荷できないお花など、廃棄処分となってしまう花を「ロスフラワー®」と名付け、ドライフラワーにして百貨店などの空間装飾を製作したり、ECで販売したりなど、さまざまな形で活用しています。
この会員制の花屋「RIN marche」も、そのひとつ。会員の皆様には「来店するだけで2,000円相当の好きな花をお持ち帰りいただける」というシステムで、オープンしてから想像以上に多くの方に足を運んでいただいています。
先日入荷したこのスイートピーもロスフラワー®です。「一番花」と呼ばれる、シーズンの最初に咲く花なのですが、茎1本につく花の数が、市場に出回るスイートピーよりも少ないんです。でも、こうやってまとめて飾ればこんなに華やか。
市場で販売される花も、ロスフラワー®も、大好きな植物であることに変わりありません。明確な線引きをして区別するというより、「行き場のない子がいるなら、うちで預かろう」という感覚なのかもしれませんね。
グリーンと花、それぞれの魅力
長野県の自然豊かな場所で生まれ育ったので、植物と遊ぶのが当たり前でした。田んぼのあぜ道ですみれを眺めたり、花冠をつくったり、そんな“花遊び”の原体験を都心でも伝えていきたいという想いがあります。
自宅でも、窓辺を埋め尽くすくらい観葉植物を育てています。朝起きたら最初にするのは、観葉植物の水やり。息子と一緒に、無心で水をあげる時間が好きです。花は咲く時期が限られていますが、グリーンは常にみずみずしい緑を保ち続けてくれますよね。お互いが引き立て合う重要な存在だと思います。
自宅には大きな鉢が多いので、「&Green」のコンパクトなサイズ感も新鮮です。こんな風にマグカップに入れて育てるところから、気軽にグリーンのある暮らしを始めるのもいいですよね。お花も同じで、まずはワインボトルに一輪だけ飾るような、身近なアイテムから取り入れることで、新しい楽しみ方が広がると思います。
また、&Greenは気軽に育てやすいだけでなく、寄付活動に取り組んでいたり、土を使った栽培に比べて水の使用量を抑えた栽培方法を採用していたりと、バックストーリーを持っているところも応援したくなります。
土を使わないとのことで、お花とも一緒に飾れるのですね。スイートピーと一緒に活けてみると、こんな感じ。ふわふわした葉っぱのグリーンがあると、花と馴染んでかわいいですね。ひらひらした葉っぱのアスプレニウムもお花みたい。「&Green」をお花と一緒に活ける場合は、花の茎の切り口からバクテリアが発生しやすいので、ぜひこまめに水を換えてあげてください。
植物が巡る、生命の循環
生花からドライフラワーへ、そしてドライフラワーがさらにリースやポプリへ。 「RIN marche」は、そんな花や植物の循環を見せられる場所にしたいと思っています。
商品として置くのはもちろん、たとえば、ここの什器にはRINのドライフラワーを加工して埋め込んでいます。什器としての強度は保ちながら、花の手触りや凹凸は残してアップサイクルしています。
生花を飾る以外にも、お花の活用方法って実はたくさんあります。花や植物の生命がどのように活用されているのか実際に体験してもらいながら、日々の暮らしに花を取り込んでいってもらえればと思っています。ただ花を売るだけでなく、その先にある心の豊かさまで届けていきたいですね。