Contents

Sustainable

WaterAid Japanへ寄付のご報告

WaterAid Japanへ寄付のご報告

&Greenでは2025年1月から、2025年6月までの売り上げの一部を、ウォーターエイドジャパンに寄付をいたしました。

 年々気温が上がり、猛暑日が増え続ける夏。それは日本だけではなく世界各地でも同様に深刻化しています。今回は今年の夏に起きた気候変動の影響による水・衛生に関する被害状況や、&Greenの寄付につながるウォーターエイドの活動についてご紹介します。

気候危機は水・衛生の危機

 今年8月、パキスタンで大雨による洪水・地すべりが発生しました。家屋、保健医療施設、学校、橋、給水・衛生インフラなどが甚大な被害を受けました。給水インフラの破壊によって、同国北部の一部地域では、水源の約8割が汚染されたともいわれており、安全な飲料水を得ることが困難な状況に陥りました。トイレも使えなくなり、コレラなどの感染症の流行リスクが高まりました。

洪水による泥で給水用モーターが損傷し、住民が安全な水を得られなくなった(パキスタン / 2025年8月)
WaterAid/ Muhammad Omair

 こうした状況を受け、ウォーターエイドは現地パートナーと協力し、もっとも被害の大きい地域で清潔な飲料水、緊急用トイレ、衛生キットの供給、ならびに衛生啓発セッションを実施。被災地において安全な水の供給ならびに水系感染症の拡大防止を目指しました。

 実はパキスタンでは、2022年にも、長く続いた豪雨のために各地で洪水が発生。国土の3分の1が水没したともいわれ、3,300万人が被災しました。その際も、水質や衛生環境が著しく悪化し、下痢やコレラなどの感染が増加しました。

&GreenのContentsでもご紹介しています。

 近年、日本に住んでいる私たちも気候変動の影響を実感しているように、ウォーターエイドが活動する国々においても、これまでとは異なるタイミング、これまでとは異なるスケールで干ばつや洪水が発生しており、人々の命、健康、暮らしを脅かしています。

 前述のパキスタンに加え、アフリカの島国マダガスカルの南部では、2022年にここ40年間で最悪の干ばつが続きました。住民は水を得るために、1回往復4時間の水くみに1日2回行かなければならず、しかも4時間歩いて得られるのは、干上がった川に残った、動物が飲んだり、人々が体や衣服を洗ったりすることで汚染された水のみでした。

遠くで水をくんで村に戻る人々(マダガスカル)
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

 干ばつが来れば、人々は水を探してさらに遠くまで歩かねばなりません。水くみを担うのは多くの場合、女性や女の子たちです。また、水不足のため農作物が収穫できなくなり、食料難にもつながります。サイクロンや暴風雨により給水設備やトイレが破壊されてしまうだけでなく、洪水が起これば排せつ物があふれ、周辺環境や水源が汚染されて下痢など感染症がまん延します。

 気候危機は水・衛生の危機です。開発途上国の貧困層・脆弱層は、先進国と比べて気候変動の要因である温室効果ガスの排出量がずっと少ないにもかかわらず、気候危機の代償を払っているのです。

 バングラデシュは、南アジアの国々のなかでも、特に水・衛生の普及状況が低く、毎年千人以上の5歳未満の子供が汚れた水やトイレが原因の下痢で命を落としています。世界で7番目に気候変動の影響を受けやすいと言われ、相次いで発生する大型サイクロン、洪水、熱波、干ばつなどの異常気象が人々の暮らしを脅かしています。

 特に南部の沿岸地域は海抜が低く、海水の浸入が原因で地下水の塩化が進み、人々はさまざまな健康被害のリスクにさらされています。南部沿岸地域にあるベトカリ村に暮らして34年になるというスシュマさんは、気候の変化を目の当たりにしてきました。

畑仕事をするスシュマさん(バングラデシュ)
WaterAid/ Fabeha Monir

 「気温は例年より高く、暑さのせいで畑にいても仕事になりません。本当に暑くて燃えるようです。最近は雨が降れば洪水になってしまいます。洪水が起きれば、稲作には甚大な影響がでます。」
スシュマさん一家は、自宅で雨水をタンクに貯めて飲料水として使っていますが、洗濯や身体を洗う際は、家の近くにある池の水を使っています。しかし、池の水は濁り、汚染されています。
「体を洗うと、髪がべたべたして、頭皮が荒れ、服を洗ってもなかなかきれいになりません。きれいな水が使えるようになったらどんなに嬉しいことでしょう。飲み水のことを心配することもないし、料理や他のことにも水を使えるようになるでしょう。」

ベトカリ村の人々が洗濯や体を洗うのに使っている池(バングラデシュ)
(※女性はスシュマさんではありません)
WaterAid/ Fabeha Monir

ウォーターエイドの活動

 相次ぐ異常気象に見舞われ、取り残されがちな人々に命の水を届けるため、水・衛生専門の国際NGOであるウォーターエイドは、各国で自然災害に強い水・衛生のしくみづくりに取り組んでいます。それぞれの地域が、どのように気候変動の影響に脆弱であり、どのような被害が想定されるのかなどを分析し、そのような被害を軽減するため、対応するための施策・対策を講じます。

 例えば、乾期が長期化したり、干ばつが起きやすくなったりしている地域では、複数タイプの給水設備を設置することで水不足に対応できるようにするといった工夫をしています。大雨による冠水・洪水が起きやすくなっている地域では、給水・衛生設備を設置する際に位置を高くしたりもします。サイクロン・台風が頻繁に上陸する地域では、給水・衛生インフラに風や海水に強い素材や構造を取り入れる、といった施策をとることもあります。そして、こうした取り組みをモデルとして現地政府や事業者などに提示し、他の地域にも広めるよう働きかけています。

土台を高くして設置したトイレ(バングラデシュ)
WaterAid/ Fabeha Monir

 バングラデシュでは、人口の4分の1が、深刻な気候変動の影響を受けている沿岸地帯に住んでいることから、ウォーターエイドは、気候変動に対応した水・衛生プロジェクトを積極的に実施してきました。気候変動に最も脆弱なコミュニティや気候変動に強い給水設備の位置を特定するなど、気候変動の影響や今後生じるリスクの分析を進めてきたほか、下記のとおり、気候変動の対応としてモデルになるような取り組みを推進しています。

■ 太陽光発電を用いたポンドサンドフィルターの導入

 ポンドサンドフィルターは、飲料水を得るために、バングラデシュの沿岸地域でよく使われている手法の一つです。ウォーターエイドは、同設備の効率性を高めるために、ポンドサンドフィルターに太陽光発電を組み合わせ、太陽光発電で動くポンプが自動で池の水をくみあげてろ過し、貯水するようにしました。また、洪水・高潮などへの対策として、ポンドサンドフィルターを高台に建設。こうした工夫によって、地域に根付いたポンドサンドフィルターを、気候変動の影響に対応可能にし、また、より大規模なコミュニティにでも導入できるようにしました。

太陽光発電を用いたポンドサンドフィルター(バングラデシュ)
WaterAid/ Drik/ Farzana Hossen

■ 雨水活用設備の導入

 ウォーターエイドは、一次貯水設備と予備貯水設備を設置し、かつ、洪水の被害を受けないよう、高台に設置するようにしています。沿岸地域では、家庭、学校、保健医療施設に雨水活用設備を導入。災害時でも避難所(学校がよく避難所として使用される)や保健医療施設で清潔な水を利用できるようにしています。

学校に設置した気候変動にレジリエントな給水・衛生設備(バングラデシュ)
WaterAid/ Fabeha Monir

-----------------
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
https://www.wateraid.org/jp/
-----------------

 発展途上国では先進国に比べて人々の命を脅かす危険がより大きい気候変動。要因である温室効果ガスの排出量が少ないにもかかわらず代償を受けている実態があります。&Greenをみなさまにお届けすることで、少しでもその助けになることを願っています。

おすすめの記事

WaterAid Japanへ寄付のご報告
Sustainable
WaterAid Japanへ寄付のご報告
日本自然保護協会へ寄付のご報告
Sustainable
日本自然保護協会へ寄付のご報告
WaterAid Japanへ寄付のご報告
Sustainable
WaterAid Japanへ寄付のご報告