植物を通じて感じる自分の時間。
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吉田愛
広島県生まれ。穴吹デザイン専門学校卒業、いくつかの会社を経て、谷尻誠とともにSUPPOSE DESIGN OFFICE Co., Ltd.を設立、共同主宰する。不動産の埋もれた価値を再定義する絶景不動産株式会社の代表、設計以外の建築業務を手がけるetc inc.ファウンダー、飲食部門のプロデュース兼経営、ゲストハウス鎌倉はなれのディレクションなど、建築を軸にハードからソフトまであらゆる分野を横断しながら活動している。
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趣味を仕事にすると掘り下げが変わる。
建築において、植物というのはすごく重要な要素でこれまでにもさまざまな形で取り扱ってきました。建築の外構部に職人さんと一緒に植生するなんてこともありましたね。でも、自分の生活を振り返ると、あまり植物を楽しんできたとは言えないんです。というのも、仕事が忙しかったこともありますが、私は、ちょっと面倒くさがりというか、自分だけのためだとどこかで「まあいいや」となってしまう。自分が楽しむだけの趣味だと徹底的に追求できない性分でして。
だから、逆に興味があることを趣味ではなく仕事にすると、掘り下げるようになる。例えば食堂を運営するとなれば、どんなメニューを出すか、物販するとなればどういうものを置こうかと徹底的にリサーチして考える。こういう生活に関わることは、もともと仕事にしなくても、好きなことではあるんです。でも、好きなことでも自分のためだけだと、どこかでブレーキがかかっちゃうし、趣味よりも仕事、仕事! となってしまう。だから、自分の興味がある領域を全て仕事にしていくと、生活と仕事の境界がなくなっていくので、趣味のようなことも本気でできる。すると、素敵な空間やおいしいレストランを見に行くことは仕事の一環だ…と言い訳もしやすい(笑)。
私の場合、なんでも仕事にするとそこにもっと深く入っていけるようになる。例えば「etc inc.」は家具やアートについて自分自身がもっと探求してみたいと思いそれがきっかけで作った会社です。これまでも建築空間に合わせ家具をデザインしたりセレクトしてきましたが、あくまで建築空間を主体として捉えていました。でも、仕事にした途端に、まずは自分自身で気になるプロダクトを所有して実際に使ってみようという風に物に対する意識が変わったんです。空間に配置した時のサイズ感や手触りを実感するとデザインされた背景やそのストーリーまで知りたくなる。世の中にはどんな種類の家具があって、中でもこの家具はどういったものなのかと突き詰めることで、物に対してもっとストイックに理解することにつながりその魅力を伝えたいと思うようになりました。
好きなことを仕事にして生活と仕事の境界をなくすことで “やらないといけない事”を全部“やりたい事”へと変えていく。そんな風に自分の時間を有意義なものにするための工夫をしています。
鎌倉と東京…、それぞれの植物の楽しみ方。
最近は生活ぶりも変わり、自分の生活は後回しにして仕事優先でいた頃から、もっと気持ちいい環境の中で生活を送りたいと思うようになりました。仕事と生活のいい塩梅とは? と思案し、縁があって鎌倉の古い日本家屋に住み始めました。そこには庭も裏山もあるんですが、自然の循環というものを目の当たりにしてびっくりします。朝が来ると日が昇って、鳥が来て、数ヶ月ごとに違う花が咲く。夏には濃い緑で溢れ、秋には葉が紅葉して、冬には散って…と一年の中で変化していく自然の営みに驚かされる。例えば暑い時期に飲めるように梅の実が6月になるとか、理にかなった自然の仕組み全てに感動する日々です。そういった自然を感じるだけで、すごくリフレッシュできるので週末は鎌倉に通っています。あちらでは庭づくりなどを通して自然に触れていると、仕事の時間とは切り離された自分の時間を体感できています。
一方、この場所は東京で、鎌倉と違い平日に滞在するので、仕事に追われ時間はありません。でも、朝ベランダに出て、植物に囲まれ気持ちいい朝日を浴びる…、それだけでも全然気分が違います。自動潅水を取り入れているんですが、テクノロジーのおかげで、そんなに手間をかけずに植物を楽しむことができる。究極の都市型の植物の育て方かもしれません。
鎌倉と東京、それぞれの場所で自然を楽しんでいます。どちらがいい悪いではなく、どちらの場所でもその場所なりのやり方で植物と向き合っています。
場所も容器も自由になる「&Green」。
「好きなものを置く場所に、一つ植物があるだけでも楽しい。」&Greenはこちらから
植物のことは元々好きで、以前から室内に置いていました。でも、ある意味黒歴史ですが、つい枯らしてしまう。で、自己嫌悪になる。それに枯らしてしまった植物をどうしたらいいのか困るんですよね。土をどう処理するかにも悩むし、植物のサイズが大きいと枯らしたままというわけにもいかない。
その点、「&Green」はテクノロジーのおかげで土を使わないから、簡単かつきれいに植物を育てられますよね。例えばお子さんがいらっしゃる家庭だと土があると置きづらい。それに一般的には鉢の下に受け皿を置くから、置く場所がある程度決まってしまう気がします。でも、土を使わない「&Green」なら、これまで置かなかったような場所…、例えばお風呂周りにキャンドルのように置いたり、土がなくて軽いからハンギングして上からぶら下げたりして立体的に取り入れたりもできそう。
あとは、好きな器を容れ物として使えるのもいいですね。さらに、好きな器でも一度土を入れてしまうと、鉢替えするのも大変だから、ずっと植木鉢として使うことになるけど、「&Green」の容れ物であれば、すぐに器にも戻せる。ティーポットを植木鉢にしたり、好きな食器を使ったり、ある意味本来の用途とは違う、間違った使い方をすると、すごく素敵に見えると思います。
場所を選ばないから、この棚のように自分が好きなものを置く場所に、一つ植物があるだけでも楽しい。それが小ぶりでも、植物を置いておくだけでちょっと気分が変わる。そんな植物のことが好きだったのに、枯らしてしまっていたかつての自分に、ぜひ「&Green」を紹介したいですね(笑)。