&Greenでは2022年7月から、2022年12月までの売り上げの一部を、ウォーターエイドジャパンに寄付をいたしました。
“水をつぎ足すと、器の中の水が汚れてパフカルの汚れやカビの原因になる“と&Greenではご案内していますが、人にとっても衛生的な水を確保することは命をつなぐことに直結します。人の命を救うために医療施設があり、医師や看護師等の方々が従事されていますが、もしその施設や器具が不衛生だったら、また医師たちの手が衛生的な水で洗えなかったら…。3回目の寄付となる今回は、保健医療施設へのWaterAidの取り組みについてご紹介します。
人々の健康を守る病院や診療所に “命の水”を届ける
今日も世界中で、看護師、清掃員、医師、その他多くの医療従事者が、人々の健康と命を守る使命を果たすために働いています。しかし、病院や診療所などの保健医療施設に清潔な水がなければ、医療従事者たちは手を洗ったり、施設内を清掃したり、衣類やシーツを洗濯したりして衛生状態を保つこともできず、感染リスクにさらされてしまいます。命を守る保健医療施設に、汚れた水を使うしか選択肢がなければ、人々の命と健康を守ることはできません。
しかし、今も世界の約4分の1の保健医療施設で、そして後発開発途上国の半数の保健医療施設では、敷地内で清潔な水を得ることができません。また、38億5,000 万人が、石けんと水、または消毒用アルコールが備わった手洗い設備がない保健医療施設を利用したり、そこで働いたりしています。
WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (2022), Progress on WASH in health care facilities 2000–2021: special focus on WASH and infection prevention and control (IPC).
モザンビークのナパカラ診療所
世界の最貧国のひとつであるモザンビーク。北部のニアサ州クアンバ郡にあるナパカラ診療所は、16のコミュニティの中心に位置しています。ここではマラリア経口薬の投与から出産、赤ちゃんのケアまで、2部屋しかない小さな施設で、様々な医療を提供し、地域の人々の暮らしを支えています。しかし、この診療所に清潔な水はありません。
ナパカラ診療所で看護師として働く看護師のマリアさんは、週7日24時間体制で地域の人々の健康と命を守る仕事をしています。清掃員兼補助員として働くマニュエルさんも、朝5時から掃除をしたり、井戸から水をくんだり、予防接種の準備をしたり、傷の手当をしたり、休むことなく働いています。
しかし、 診療所には蛇口も水道もありません。手に入るのは、壊れた井戸からくんだ汚れた水です。
それだけでなく、水くみは貴重な診療時間を奪い、働く2人にとっても大きな負担となります。困難ななかで懸命に地域のために尽力する医療従事者たちが、安心して働き、利用者に十分な処置を施し、人々の健康と命を守ることができるように水・衛生が必要です。
子供のころから看護師になることが夢だった、と語るマリアさんは、ここが初めての赴任地。厳しい状況のなかでも、優しさと思いやりで利用者に応えるマリアさんの願いは清潔な水が使えるようになることです。
「ナパカラには給水ポンプが2基しかなく、遠い場所にあるので、 私たちは井戸から水をくんでいます。井戸が枯れると手洗いや患者さんの衣類などの洗濯ができず、 悪影響がでてしまいます。この地域は切実に飲み水を必要としています。診療所だけでなく、 コミュニティ全体に給水設備が設置されることを願っています。私にとって水は命そのものです。」と、マリアさんは話します。
こうした現状では、そこで働く人々だけでなく利用する人々の健康と命を危険にさらすことになってしまいます。
たとえば、不衛生な環境での出産に伴う感染症によって、年間100万人を超えるお母さんと赤ちゃんが命を落としており、このことは出産時に赤ちゃんが亡くなる原因の26%、女性が亡くなる原因の11% を占めています。
ウォーターエイドの活動
ウォーターエイドは2022年6月、この地域で3年間の新たなプロジェクトを開始しました。クアンバ郡で最も水・衛生が行き届いていない保健医療施設5か所を、清潔な水と適切なトイレ、安全な廃棄物処理設備、そして良好な衛生状態を備えた施設に変えていきます。また、この取り組みを「モデル」として、現地政府に対して、保健医療施設の水・衛生状況の改善に注力するよう働きかけていきます。
保健医療施設5か所では、2か所で給水システムを新設、3か所で既存の掘削井戸を使いやすい給水システムに改修します。また、すべての保健医療施設に手洗い場を設置し、廃棄物処理の設備としくみ、色分けしたゴミ箱を設置するほか、2か所で新しいトイレ棟を建設する予定です。
さらに、ウォーターエイドは、現地パートナーと連携し、コミュニティ組織や医療従事者を対象に、衛生トレーニングを実施します。保健医療施設で新設・改修する給水システムが持続可能であるよう、住民が参加し、給水システムの維持管理に責任を持つ「水委員会」を立ち上げます。
そして重要なのは、本プロジェクトを通じて、現地政府による水・衛生の取り組み強化を働きかけていくことです。ニアサ州では、水・衛生予算のうち95%が給水システムの運用、特に人件費にあてられており、給水システムの修理や新設には限られた予算しか残されていません。
ウォーターエイドは、現地政府と協力し、資金確保のためのトレーニングなどを通じて、水・衛生分野への資金を拡大するよう働きかけていきます。さらに、給水システムの持続可能性を阻む一因であるスペアパーツ(交換部品)を、各地域で入手することができるよう、関連するワークショップの開催、潜在的な業者への技術・資金・経営面でのサポート、村にあるスペアパーツ店の広報支援などにも取り組んでいきます。
水と衛生が届いた保健医療施設
ウォーターエイドが同じくモザンビークで実施したプロジェクト(2018年~2021年)によって、施設内で清潔な水とトイレが利用できるようになり、手洗いが可能となったメカニェラス診療所では、そこで働く保健医療従事者や利用者たちが、大きな変化を実感しています。
清掃員のマリア・レオノアさんは話します。
「(以前は)大変でした。井戸から水をくんで、ここにあるバケツ全部を使って掃除をしなければならなかったのです。救急サービスに連絡する人、トイレを使用する人がどれだけいるか想像できますか?1日に7回も井戸に水くみに行かなければならなかったのです。でもそれはもう過去の話です。どの病棟も常に清潔なので、水くみで疲れるなんてことは考えもしません。蛇口からは常に水が出るので、汚れを見つけたらすぐに掃除しています。嬉しいですね。水は私にとってとても大切なものです。水がなければ生きることはできませんから。」
ヴァレリアさんは、メカニェラス診療所から歩いてすぐのところに住んでおり、自分や自分の子どもが病気になったときに何度も診療所を利用してきました。この診療所に水・衛生が届いた後、ここで行った出産について、ヴァレリアさんは、「素晴らしい経験だった」と語っています。
「水は命を救います。水のないところに命はないのです。お医者さんが、手洗いによって病気を防いでいるのだから、私もそうしないといけませんね。また、お医者さんが手を洗ってくれるので、その手によって感染が広がることがない、という安心感があります。」
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特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
https://www.wateraid.org/jp/
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「水は命を救う」。衛生的な水を使える環境に整備することが命を救う活動に直結するということを改めて理解することができました。私たちはきれいな水が身の回りにあるからこそ、大切に使っていきたい、&Greenがそう考えるきっかけになることを願います。