Contents

interview

&Greenスペシャルインタビュー#11 モデル カイノユウ 【前編】

&Greenスペシャルインタビュー#11 モデル カイノユウ 【前編】

日本茶をもっと身近に。カイノユウが手がけるお茶ブランド「SA THÉ SA THÉ」のストーリー

「日本茶の美味しさを知ってもらい、日常的に飲むものとなってほしい」

そう話すのは、モデルとして活躍されているカイノユウさん。お茶の産地である静岡県で生まれ育ったカイノさんは、2020年にお茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」を立ち上げました。

モデルとして活動しつつ、なぜお茶ブランドを立ち上げたのか。きっかけやお茶作りへのこだわり、お茶文化を広めていくためにできること--。カイノさんの想いを紐解いていくと、&Greenのストーリーやコンセプトとも共通する、私たちの暮らしに必要な“心地よさ”が見えてきました。

前編ではブランドを立ち上げたきっかけや、お茶作りへのこだわりを伺いました。

後編 「急須でお茶を淹れるひとときは、自分を取り戻す時間」
カイノユウが語る、暮らしにお茶を取り入れる心地よさ

日本茶ブランド「SA THÉ SA THÉ」を立ち上げたきっかけ

ブランドを立ち上げた背景を教えてください。

うちは祖父の代から、静岡県で日本茶の加工や袋詰めをする工場を営んでいました。産地ということもあり、我が家では毎朝美味しいお茶を淹れていて、季節に合わせて新茶や番茶など、さまざまな種類を楽しんでいました。私にとってお茶はとても身近な存在でしたね。

転機が訪れたのは2020年。工場を継いだ父と何気ない会話を電話でしていたときに、「コロナウイルスの影響などでお茶の売上が減り、周りでお店を畳むお茶屋さんが増えてきた」との話を聞いたんです。

知っているお店が廃業したとも聞き、ものすごく寂しくなって。子どもの頃から飲んできたお茶の味、香り、工場で働いている従業員、好きなお茶屋さんなど、これまで私の人生を豊かにしてくれたお茶の文化が、少しずつ元気がなくなってきているのかな、と感じました。途端、心の中でふつふつと「私に何かできることはないのだろうか?」という気持ちが湧き、ブランドを立ち上げようと決意しました。

なぜブランドでなくてはならなかったのでしょうか?

自分の言葉や表現で思いを伝えたかったからです。モデル活動をしていると、PRの一貫としてお茶を発信することもできます。しかし、長く飲んできたお茶に本気で向き合い、ブランドとして私の思いを発信することに意味があるのではないかと思いました。

もちろん、モデルとしてキャリアを積む中で新しい挑戦には勇気がいりました。モデルは物事に“染まっていく”お仕事だと思っているため、特別なイメージがつかないように、これまで自分の思いを発信するのはあえて避けていたんです。しかし、本気でお茶ブランドを始めたかったため、やるのであれば“中の人”の思いが伝わるブランドにしたかったんですね。

自分の言葉で表現していくことで、本気度を見せられますし、何よりもお茶に興味を持ってもらえます。その思いが「お茶業界を守り続ける一歩になるのではないか?」と思いました。

当時の反響、立ち上げから二年経過した今のお気持ちを教えてください。

多くの方に興味を持っていただきました!「周りにもSA THÉ SA THÉのお茶をおすすめしておくね」と広めてくれる方もいて、お茶を飲むきっかけを作れたと感じています。

ただ、この二年間でより深くお茶を知るようになり、自分の無知さを痛感する機会も増えてきました。お茶の仕事を経験していない中での立ち上げだっただけに、知れば知るほどお茶の世界は深くて自由なことを知ったんです。作り手によって風味が変わりますし、自分の好きなように淹れて楽しめる自由さが大きいなと。そんなお茶が持つ可能性を最大限に引き出せるように、今は日本茶インストラクターと日本茶アドバイザーの資格を取得しようと勉強中です。

「飲みやすさ」と「気軽さ」を追求。お茶作りへのこだわり

お茶作りの難しさ、こだわりを教えてください。

お茶は嗜好品なため、好みや感じ方が人によって違うところが難しいですね。好みが分かれるからこそ、さまざまな茶葉を飲み比べたり、どのようなお茶が求められているのか情報収集をしたりしています。「こんなお茶が飲みたい」と思ったときに、周りへアイデアを伝えられるよう、インプットする毎日です。

こだわりは「飲みやすさ」と「産地のフレッシュな美味しさをそのままに、暮らしの中で気軽に飲めること」。お茶の種類によっては、製法が丁寧に綴られていて、淹れ方の敷居が高いものもあります。しかし、SA THÉ SA THÉはもう少し気軽にお茶を楽しんでほしいブランド。お茶を身近に感じられると、手に取る機会が増えると思うからです。

結果的にお茶を飲む習慣に繋がると思っているからこそ、「都会で忙しく働く人たちはどのようなお茶だと気軽に飲めるのか」といった、地域や季節、年代、社会情勢などを踏まえて茶葉を作るようにしています。

カイノさん自身は、普段どのようにお茶を楽しんでいますか?

朝は和紅茶を飲み、仕事から帰宅した後は煎茶をゆっくりと淹れて一息つきます。食後にはほうじ茶を飲むことが多いですね。仕事柄さまざまな茶葉を試飲しているため、日によって飲む量は増えますが、プライベートな時間にお茶を淹れる場合は、一日三杯〜四杯飲んでいます。

水は家で浄水したものを沸騰させて使用。煎茶は旨味成分を引き出すために、少し冷まして淹れるようにしています。温度で風味が変わるため、自分好みのお茶を淹れられるように試行錯誤する時間が楽しいです。

私は急須でお茶を淹れるのが好きなんです。もちろんティーバッグも好きですが、パパッと淹れられる動作がどうしても物足りなくて……。急須にお湯を注いで、茶葉が開くのをゆっくりと待ち、出来上がったお茶を湯呑みに注ぐ。この一連の動作を行うと、肩の力がスッと抜けて、心が落ち着きますね。

2022年9月には鹿児島のセラミックブランド onekiln とコラボしてオリジナル湯呑みも制作されましたよね。特徴を教えてください。

飲みごたえを感じられる容量と、ティーバッグを入れても使いやすいデザインなので、お茶だけではなくコーヒーや紅茶にも使えます。あとは内側の色味。お茶の色が分かるように「絶対に白にしてください」と伝えて作ってもらいました。日本茶の綺麗な緑色がしっかりと見えるので、淹れるたびにワクワクする湯呑みとなっています。

 

-----------------
カイノユウ プロフィール
静岡県出身。モデルとして活躍する傍ら、お茶ブランド「SA THÉ SA THÉ(サテサテ)」を立ち上げる。日本茶を文化として根付かせたいという想いを持ちながら、その魅力を広めるため活動中。セラミックブランド onekiln とオリジナルの茶器も制作。
Instagram @kainoyu
SA THÉ SA THÉ https://shop.sathesathe.com/
-----------------

-----------------
TONER
東京都品川区西五反田3-8-3

Instagram @toner_tokyo
-----------------

おすすめの記事

&Greenスペシャルインタビュー#24 エッセンシャルオイルブランド「Licca」 長壁ご夫妻
interview
&Greenスペシャルインタビュー#24 エッセンシャルオイルブランド「Licca」 長壁ご夫妻
[Special Talk] 「おはよう」も「おやすみ」も心地良くなる植物と眠り
Interview
[Special Talk] 「おはよう」も「おやすみ」も心地良くなる植物と眠り
&Greenスペシャルインタビュー#23 クリエイティブディレクター 木本梨絵
interview
&Greenスペシャルインタビュー#23 クリエイティブディレクター 木本梨絵